書籍・雑誌

2015年11月 5日 (木)

数理的な根拠も自然な感覚からだと証明…心理は時空間!

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戦後最大の思想家の最も難解な本 ホントに読まれるのはこれから2013/4/24

Byタマ73

 

たとえば数学や論理学は最も抽象的で科学的な、だからこそ普遍的な認識?ですが、その根拠は何か…とい うと結構ナゾです…。本書には数行で数理論の根拠が書かれているパートがあり、理論物理学などでも概念の均質性や空間性が前提ですが、そういった認識の根 拠が説明されています。そういうことを力まずに何気なく書くのは著者がバリバリの理系の人間だからじゃないかなと思いました。理系的な知識や論理でモノゴ トを一刀両断にする人がいますが、理論や定理は現実からある特定の方法の見方で抽出されたもの。そのため時代が変わり新しい実証や研究によって理論や定理 も変わります。進歩というやつです。

本書は逆にその変わらない部分にスポットを当てたともいえる内容になっています。変わらない部分からの変成がさまざま な心的現象のレベルになり理性であったり道徳であったり数理計算であったりという説明。病気や異常もその変数の違いとして把握されていきます…。なので、 哲学だとか心理学だとか思想だとかいう先入観や前提で読むとたぶん理解し難いのでしょう。本書が“最も難解な本”といわれる理由は、むしろ逆?で、先入観 でしか読めない人がいかに多いのかを示しているのかもしれません…と自分的には思っています。


クオリアもデジャブも本書的には変数の違いや時空概念の錯合 によるもの。現象学のような鋭いアプローチをしながら、自らの視点や論拠をも微分し相対化する方法はこれこそが科学だといえるものですが、ベキ上化する観 念を大前提に自らのベキ上化をも考慮しながら考察されていく、ポスモダのキーでもある自己言及や再帰性が本書でも最重要ポイントになっています。

本 書はたとえると、縦・横・高さの3次元からはじまりモノゴトの形や量や質を説明するヘーゲル小論理学が似てるかもしれません。これ以上は微分できないと いう要素から心理(心的現象)を説明しているからです。究極的に心的現象を時間と空間の概念で再構成していくのが本書の基本的な内容で、精神病も理性も感 性も悟性も感動も盛り上がりも鬱もキレるのも…時空間概念の積分の特定の傾向として把握されていく…自分的にはそんな風に読めました。


詩人ならではの文体か批評家ならではのアイロニーか、クセがあって読みやすくはない雰囲気がありますが、そこで引っかかっては本書は読めません。イメージや雰囲気、先入観で ものをみる人には読みにくいのでしょう。たぶん団塊世代とか学生運動とか左翼がどうしたとか、著者は学者じゃないとか、そんなバイアスがかかっている人に は無理かも。きっと新しい?スタンスの人や世代がキチッと読んで、その整合性やトーナリティに驚きながら意外なシンプルさに気がつくような、そんな本なん だろと思いました。

本書がホントに読まれるのはこれからだと思います。



           
改訂新版 心的現象論序説 角川文庫 (角川ソフィア文庫)

著:吉本 隆明
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2014年5月 6日 (火)

みんなの不安の根源を解き明かし、ラジカルな勇気をくれる一冊!

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 現代が<終わってる>ことを宣言してくれた正直な名著! そして社会は動物化?した… だからみんなで何かを探しに行こう! 2014/4/22

By タマ73

             
       

現代の日本が大きなオワコンであることが指摘されて、この本は終わります。

いちばん最後の文章が以下です。


  「わたしたちの倫理は社会的、政治的な集団機能としていえば、
  すべて欠如に由来し、それに対応する歴史をたどってきたが、
  過剰や格差の縮まりに対応する生の倫理を、まったく知っていない。
  ここから消費社会における内在的な不安はやってくるとおもえる。」



マ ルクスの理論から消費が生産でもあることを示し、日本が高度消費資本主義社会であると説明されます。これはGDPの半分以上が選択消費になる先進国の共通 の具体的な経済状態です。そしてこの状態こそが動物化した資本主義といえるものだと指摘されます。それは動物は意図的な生産はしないで消費だけをするから です…。

動物化するニッポン…。でも著者は悲観しているのではありません。逆です。象徴交換の神話と死で消費資本主義を激しく批判する ボードリヤールにテッテー的な反論を加えながら、現代だけに可能になった未来への期待が示されています。そして、その立場は<弱者>というもの…。つまり 受動的な一般大衆=消費者のことです。


  「弱者(一般大衆)が受動的である社会が、
  どうして否定的な画像で描かれなくてはならないのか、
  どうしてみくだされなくてはならないのか、
  わたしにはさっぱりわからない。」



必 要なのは現在に通用する倫理がないことをクールに認識することであって、現在を否定することではないからです。現在の大きな<不安>は通用する倫理が無い から…という指摘は、次のステップを示してくれています。現在の不安を解消するのは古びた愛国や平等といったものではないのは当然だからです。

本書は、日常生活の中で、弱者(みんな)が、ちょっとづつ何か(倫理でも何でも)を探しながら生きていくことを全面的に肯定してくれた一冊といえるでしょう。

本 書には<動物>という言葉以外に<幼童>や<子ども>、<女の子><弟><妹>などの概念が幾度も登場し、グリム童話やアンデルセン、高橋源一郎村上龍 などもサンプリングされています。カットアップされるのは子どもが登場したり幼稚性を示した場面…。そこで解析されるのは瞬間や反復、常同、面白いもの、 残酷、無倫理…です。

動物と幼童が等質等価であるのはヘーゲル以来の認識であり、消費=生産も資本論の範疇です。本書の内容はじつはオーソドック。それらの現況である終わりなき日常の反復にこそ未来の可能性を発見した、巨大な思想家の優しい視線を感じることができます。


           
ハイ・イメージ論3 (ちくま学芸文庫)

著:吉本 隆明
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2014年1月14日 (火)

都市伝説から神話や宗教まで、見切れるガイド本!?

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アジア的という壮大な構造物を分析した物語論? 何の参考にもなる可能性! 2013/7/23

              
      
 国家は幻想である、宗教も幻想である…という言葉で有名な本です。
 でも、読んでみるとそうハッキリと国家のことが書いてあるワケではありません。
  それよりも、物語がどうやってできるかとか、どうやって伝えられるかということが詳しく解説されています。<巫女>や<他界>のことが書いてあって、つま りアイドルとかあの世とかについて説明されていて、読むほど面白くなる本だといえます。簡単にいえば物語のでっち上げ方が書いてあり、そのフィクションの カタマリとして社会や国家や宗教が示唆されていきます。そして日本はもっとも複雑で高度なフィクションのカタマリとして歴史に登場したということが解き明 かされていきます。アジアのなかでも特別に複雑な幻想のカタマリとして成立したニッポン…そのリソースやその証拠として分析されるのが「古事記」や「日本書紀」そして「遠野物語」などのエピソードです。

 現代でいえば国家というものはレーニンが分析した「国家と革命」ネグリ=ハート「帝国」などで理解できるし、機能的にはそれが当たっています。ここで吉本隆明さんが考察しているのはもっと根源的なもの。どうして国家があると思ってし まうのか?というような根源的な問題です。それらがより細かく微分されて、どうして巫女は共同体の予期をする(占う)のか?とか、なぜ幽霊はいると実感で きるのか?というような具体例を通して分析されていきます。

 日本のオリジナルな特徴として天つ罪・国つ罪のように一つの行為が一方で罪 になり他方では罪にならないような事例を上げて、異なる価値観が並立し組み合わさっていた事実から、異なる民族や文化が高度で複雑な共同体を形成しキメラ な構造の社会を成り立たせていった可能性が指摘されています。それがマルクス経済学でいうアジア的共同体にも匹敵する、日本(だけ?)の観念のなかの壮大 な構造物であるという指摘は、物語とその構成こそが共同幻想であり、そのある形がのひとつが国家や宗教なのだ…ということを示しているといえるでしょう。 国家創世の神とその神話を、それを描いた知識人のレベルまでを解析しながら解体批評していく本書の展開はスリリングで画期的なもの。著者である吉本隆明さ んが知の巨人とか最大の思想家といわれる証拠がここにあるといえる内容の一冊です。

 発刊当時は政治的な革命の書として読まれたようです が、現在では都市伝説から神話や宗教まで、ありとあらゆる物語を解体する手がかりとなるガイドとして読めるものだと思います。読むほど万能のガイドのよう に読める本書は繰り返し読むことが一つのポイントかもれません。さまざまな物語論とともに「共同幻想論」を読むと、この本がいかに原理的な根源的なテーマ を持っているかがわかります。そのすべてのはじまりに対幻想=性があるというのも人間が生きていくあらゆる場面で本書が役に立つ?可能性を示しているとも いえます。



           
共同幻想論 (角川文庫ソフィア)

著:吉本 隆明
参考価格:¥620
価格:¥620

   

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2013年10月29日 (火)

仲間で生き抜こうぜという本。もちろんひっきー&ニートOKでしょ。

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現代社会の解決はシュエハウス的なトレンドだけ? 2012/10/29
 
    By タマ73
 
Amazon.co.jpで購入済み
 
吉本隆明さん自身による“吉本ガイド”のように読める本。初期三部作(言語にとって美とはなにか共同幻想論心的現象論)のような理論的なものではな く、現代社会を乗り切るための、『アフリカ的段階』以降の思索が披露されています。“アメリカはオカシイ”からはじまってラストは“シェアハウスに期待す る”的な言葉…。シェアハウスという言葉は出てきませんが「三人ぐらいでつくる集団」に期待する、「そういうことでしか可能性はない」という強力なプッ シュが印象的なラストです。

フーコーを「まったく独立派だった」、シモーヌヴェイユを「単独者として自分の考えを述べていく」人と紹介。 「単独者」はもともとフーコーの言葉ですが、吉本さんにとってはひきこもりからフツーの人や思想家までつらぬく大切な定義。単独者同志が小さな集団を作 る…というと攻殻機動隊スタンドアローンコンプレックスを思い出しますが、それっていいんじゃないかっと思えたりもします。

いちばん難 しい問題として指摘されているのが現在のネット社会を前提としたもの。先端技術のおかげなどで簡単に成功やお金に結びつく可能性とそのためにコツコツやっ ていく事がおろそかになっているという両極に覆われてしまっている社会について…。これらの現代の格差などの問題の解決は…政党をはじめインテリ?が何か (上から)指導したりすることにも否定的で“社会を変えるには下からがいい”と吉本さんの根本的な思想が炸裂してる感じで、元気です。

憲法9条をめぐる言葉では吉本さんの思想の最大の特徴である対幻想と共同幻想の差異からハッキリとした解釈がされ、9条の価値と、9条でも介入できない対幻想の世界観が述べられています。

専門用語などがなくて読みやすく、しかも吉本さんの思想と現代社会の問題の解決の可能性がつかめる一冊といえます。『言語にとって美とはなにか』を「わからない」といったり、『アフリカ的段階』を「奇書」と呼んだりした人たちの感想はどんなものなのかな、と思いました。


           
第二の敗戦期: これからの日本をどうよむか

著:吉本 隆明
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